カーブのその先は。 3 大塚三業地

旅人:杉山至

川の気配が色濃く残る三業道路。

  • 大塚の夜 妄想スケッチ 大塚・谷端川暗渠沿いの三業地

    ※画像をクリック/タップして横に送ると、1-2『粟島神社・弁天池妄想スケッチ』が見られます
    ※スマートフォンの場合は横向き表示がおすすめです

旅人より

道が曲がるには訳がある。
地形がそこで変化しているか、
神聖なものや不可侵な何かがあり真っ直ぐ進めない理由がある。

また古い道は必ずといって良いほど緩やかにカーブしている。
けもの道のように身体を自然に運べる歩きやすい流れがそこにはある。

豊島区は谷端川の川端に沿って発展してきた。椎名町の長崎神社、大塚の天祖神社、池袋本町の氷川神社等を軸に街が広がる。点在する古い神社の山の端をなぞるように谷端川はカーブを描く。わずかな地形の変化と方位を読み解き古人はそこを神聖な場所としたのだろう。

豊島区を旅する中で今は暗渠の谷端川を可視化したいと思いカーブに注目した。
豊島を育んできた谷端川のまぼろしの景が少しでも立ち上がればと思います。

3-1『大塚・谷端川暗渠沿いの三業地』
料理屋、待合、芸者屋をセットで三業という。
大塚は池袋より古くから歓楽街として栄えていた。その三業地が
大塚で大きくカーブを描き文京区まで流れていく谷端川沿いに発展した。
緩やかにカーブを描く街並みに残る料亭の松が今もその名残をとどめている。

3-2『大塚の夜 妄想スケッチ』
春の宵。大塚の谷を過ぎ、谷端川沿いを歩いていたら
湯屋を発見。あたりはだいぶ暗くなってきた。
さっきすれ違った人は ガス灯の明かりに照らされて
後ろ髪が少し濡れて光っていた。

 

この旅人のルートを見る
*杉山至の旅をたどることができます

南大塚をザザザ〜っとまわるルートを見る
*この景がある地域をめぐるおすすめルートです(所要時間:1時間)

この景へのコメント

景の感想、旅の途中の体験談、景の周囲のおもしろ情報などなど、ぜひお寄せください。

  • しずさん

    景に訪れた日:2020年10月24日

    コメント:このイラストの少し手前にある街の掲示板のガラス戸の中には何故か見えづらいところにハリーポッターの悪役の写真が貼ってあります。他にも大塚を歩いていると、時たま屋外の電気のメーターに同じようなホラー映画のキャラクターの顔が貼ってることがあります。現代の魔除けか何かでしょうか...。



旅人プロフィール

Photo:Ryosuke Kikuchi

杉山至 すぎやま・いたる

舞台美術家。国際基督教大学在学中より劇団青年団に参加。2001年度文化庁芸術家在外研修員としてイタリアに滞在。演劇、ダンス、ミュージカル、オペラまで、ジャンルを問わず幅広く活躍。舞台美術ワークショップや劇場のリノベーションも手がけている。カイロ国際演劇祭ベストセノグラフィーアワード2006、読売演劇大賞最優秀スタッフ賞(14)受賞。